なんでもないはなし

勤めているフリースクールの生徒が昨日、期末テストを受けた。

中学2年生で、初めての期末テストだった。国語だけ。学校には行けないから、フリースクールで、私が試験監督して。

テスト前に、付箋がいっぱい貼ってある教科書出して、短歌のページ指して「うち、短歌のとこはなんか、良いなーって思った」って。

すきな歌、おしえてくれた。

嬉しくなって、「おもしろいよねえ!」ってはしゃいじゃって、カバンの中から歌集『えーえんとくちから』を出して見せたけど、それはあんまりピンときてないみたいだった。

 

あの子には俵万智とかがいいとおもう、初谷むいもいいかもな、とか、家帰って本棚の短歌集ひとつひとつ見て、どれか貸してあげたいなぁとか思って、でもなんか押し付けがましいかも、と思ってやめた。

 

あの子は、テスト受けれるまでになったんだよなあ、ってちょっと感動した。勉強なんか絶対せんって言ってたのになあ、あんなに付箋貼ってがんばったんだなぁ、えらいなぁ。

 

つらいこともたくさんあるけど、子どもが前にちょっとでも進めたときって嬉しくて、生きていてよかったとおもう

 

あの子がしなないでいてくれて、私がここまで生き延びてきて、出会えていっしょに過ごせたこと、お互いを掛け算してプラスになったこと、よかったなっておもう

 

10年経ったら忘れてそうな、なんでもない1日のなんでもないはなし

この日は、この子たちの笑顔は、話したことは、わたし、いつまでも覚えていたいなぁ。

時が経つのが早すぎて感情が全然追いつかなくて、どこか遠くて寒いところでひとり、他人事みたいに世界を眺めている。