・一歩踏み込むべきだったんだ、ちゃんと捉えるべきだったんだ、逃した
・冬休みでみんなおうちで過ごしてて、「子どもだれもおらんよ〜」って言っても「家いても暇だし」って来てくれた中学生がいて
・2人きりでげらげら笑いながら遊んでたんだけど、ふと「(私)さんってこの仕事しなかったら何してた?」「この仕事する前ってなんかしてたの?」って聞かれて
・教師してたんだって言いたくなかった
・学校行けない子だから、行かなきゃって毎日苦しんで行けない子だから、なんか、なんで、言わないでいたかった、なんか、悪いことしてたみたいな気になってしまったんだ、なんでだ
・「本屋さんしてたんよね」って言った、うそじゃないし
・「えーどうやってこの仕事に流れ着いたの」って
・「絵が好きでさー、絵を教えてたんだけど、その流れで、教育の道きたの」
・「絵じゃ食ってけんしさ」
・って言って
・その言葉の温度のなさにすごく自分で傷ついてしまって
・あとこういうのってこういう話題って、2人きりですごした今日しか出なかったやつじゃんって
・このタイミングで私が言った言葉って絶対絶対この子のこの先の人生にめちゃくちゃ大事な言葉だったやんって
・ひどく後悔してしまって
・「ふぅん」ってなんでもないリアクションで
・全然ちがう話題になって
・なんかすごくあせってしまって
・振り払うように帰って来て
・絵を描きました
・緑の海に沈めました
・仕事、おさまらんよなあー
・おさまらんすぎて体調悪くて集中きれてそういうひどいミスをしてしまう
・今日もやさしくあたたかくはたらこうって
・ちゃんとしっかり刻んでいかなくてはいけない
・ほんとはね、ほんとは、絵が最初だったのは事実だけど、ほんとは私ものすごく思い入れもってるんだよ、この仕事
・でも思えばそういうことばっかな気がするよ
・口からスルスルとそういう温度のない言葉が出がちなんだよな
・そのたびに傷ついてしまう、「ほんとは」とか「のに」とかこの歳になってまでまだやってんのか、ださすぎ、思春期かよって、もう大人何年目よって
・「画家さんなんですか」とか言われるじゃん、「いやそんなたいそうなもんじゃないですよ、趣味ですよ」とか言って
・ほんとは泣きそうなくらいしにそうなくらい大事なんだよ、自分のことよりもずっと大事で、呪いなんだよ
・でもなんかそういう嘘をすぐについてしまう
・あとほかにもこういうのいっぱいあって苦しい、し、ださい、ほんとのことしか言いたくなさすぎる、ほんとのことじゃないならいっそ黙っていたいすぎる、ばかだよなあ
・もうなんもしゃべりたくないよなあ